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地球平面説:科学と宗教の分かれ道

  • 執筆者の写真: 北林陽児
    北林陽児
  • 5月18日
  • 読了時間: 4分

ここ数回は、

 

心理学の再現性の危機について

 

書いてきました。

 

具体的には、

 

表情フィードバック仮説と

 

プライミング効果を取り上げましたが、

 

そういう話が山ほどあるのです。

 

  

 

 

今日は、この問題について、

 

私自身が個人的にどう思うか

 

という話をしてみようと思います。

 

個人的には、

 

「まあ、いいんじゃない?」と思いつつ、

 

再現性が薄いという話は

 

もっと世の中に周知されるべきだと

 

思います。

 

 

 

 

「まあ、いいんじゃない?」

 

と思う理由は2つあります。

 

まず第一に、

 

「科学ってそういうものだから」

 

ということです。

 

科学が備えるべき最重要な要件、

 

「科学的態度」をご存じでしょうか?

 

これは、仮説が反証された場合、

 

速やかに間違いを認めることです。

 

全ての科学的結論は、

 

一時的な仮説にすぎず、

 

間違である可能性があるという

 

謙虚さをもつということです。

 

この姿勢による反証可能性があるから、

 

科学は常に更新されることが可能になって、

 

進歩していくのです。

 

 

 

 

例えば、20年くらい前には、

 

卵は一日1個までで、

 

それ以上は健康に悪いからダメ

 

とされていましたが、

 

今では何個でもOKとなっており、

 

大谷翔平は1日10個も20個も

 

食べるそうです。

 

このように、科学的結論というものは

 

常に検証に対してオープンであり、

 

反証されたら手の平を返してOK。

 

というか、返さなければならないのです。

 

故に、100年後には、

 

現在の科学的常識の9割は覆ると

 

言われたりもしています。

 

 

 

 

では、逆に科学的態度がない場合には

 

どうなるのでしょうか?

 

その例として、

 

アメリカで流行っている「地球平面説」を

 

挙げることができます。

 

これは、地球は球体ではなく、

 

円形の平面であるとする説です。

 

この説を唱える人々は、

 

科学者ではない一般人なのですが、

 

客観的で、論理的で、再現性ある、

 

つまり科学性のある実験を行って、

 

地球平面説を証明しようと日夜奮闘しています。

 

その実験は、Youtubeに多数上げられており、

 

本職の科学者もその実験の姿勢には、

 

感銘を受けるほどと言われています。

 

しかし、本職の科学者から見たときに、

 

「『科学』ではないことは明白」だと

 

結論付けています。

 

その理由は、

 

自分自身が行った実験の結果、

 

地球は平面ではないと反証されても、

 

彼らは、それを認めず、

 

平面であると信じ続けるからです。

 

つまり、科学的態度がないということです。

 

 

 

 

この話から、科学的態度が、

 

いかに重要であるかが分かります。

 

科学的態度を持たずにいると、

 

「地球は平面である」という「仮説」は、

 

やがて「信仰」へとなってしまうのです。

 

地球が平面であるというような

 

突飛で無茶苦茶な仮説であっても、

 

仮説を立てること自体は

 

別に問題ないというか、

 

ブレイクスルーの可能性を持つ

 

素晴らしいこととも言えます。 

 

ただ、その仮説が反証されたときに、

 

間違いを認めるか、認めず信じ続けるか。

 

ここが科学と宗教の分岐点です。

 

 

 

 

さて、心理学の話に戻りましょう。

 

この科学的態度のことを考慮すると、 

 

再現性の危機は、

 

心理学が、科学的に機能している証拠

 

だと言えるわけです。

 

再現性の危機について、

 

私が「まあ、いいんじゃない?」と思う

 

1つ目の理由です。

 

ただまあ、

 

多くの論文が反証されたという事実が、

 

一般人に周知されていないことは

 

問題だと思っていて、

 

もっと広く周知すべきだと思います。

 

 

 

 

さて、「まあいいんじゃない」と思う

 

1つ目の理由は、

 

心理学に対して

 

擁護的、肯定的な理由でしたが、

 

「まあ、いいんじゃない?」

 

と思うもう一つの理由は、

 

すこし否定的です。

 

逆説的ですが、

 

心理学に対して否定的な理由によって、

 

「まあ、いいんじゃない?」

 

と思っているということです。

 

私自身は、今日の話よりも、

 

そっちを書きたいのですが、

 

今日は、もう沢山読んでもらいましたね。

 

その話は、

 

次回へ持ち越しとしましょう。

 
 
 

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