top of page

時よ、再び動け!の方法

  • 執筆者の写真: 北林陽児
    北林陽児
  • 6月23日
  • 読了時間: 3分

最近は、心の中で時が止まる現象について書いています。


今日は、その問題を解決する、つまり時よ、再び動け!という話をしてゆきましょう。


今回は、解決方法として、「再体験」を紹介します。


再体験というのは、読んで字のごとく、もう一度体験するということですね。


「何を?」と言えば、それは勿論、トラウマ体験を・・・ということになります。


しかし、トラウマ体験というのは、極めてショッキングな出来事で、思い出すのも嫌なわけですが、それをもう一度体験するというはなかなか酷で、精神的負担が重いですよね。


まあ、トラウマケアは他にも色んな方法があるので、精神的負担が重すぎる場合には他の方法の方が良いでしょう。


では、負担が大きいのに、何故わざわざそんなことをするのか?というと、再体験することによって、心の中での情報処理をもう一度やり直すことができるからです。


前回説明した通り、時が止まる現象の原因は、情報処理エラーによって、短期記憶から忘却または長期記憶への移行ができずにいるからということでした。


これは、その出来事について「完了処理」ができていないと表現できるでしょう。


完了処理ができていれば情報は忘却または長期記憶へと移行しますが、心の中で完了していないから、今も現在進行中のこととして継続しているわけです。


このことから、トラウマのことを「未完了の出来事」と呼ぶこともあります。


で、その体験が未完了になっているから、もう一度ちゃんと体験し直そう、そして完了させよう。


そうすれば、忘却または長期記憶への情報処理がされて、過去から解放される。


というのが、再体験によるトラウマケアというものです。


まあ、もちろん再体験すると言っても、現実において物理的に再現しましょうというわけではなくて、心の中で仮想的に・・・ということを意味しています。


「つまり、思い出せってことね・・・」と思うかもしれませんが、再体験とは第三者的目線から映画を観るような形で、その出来事を思い出すのではありません。


再体験とは、その時の自分自身になった状態、18歳なら18歳の時の自分自身になった状態で、その時の感覚、感情、思考を再現して体験することを意味しています。


こう言うようなことを、「退行」と言ったりしますね。


子供が赤ちゃん返りしてしまうような現象を「幼児退行」と言ったりしますが、これと同じですね。


この退行を意図的に起こして、トラウマ体験の時の「その時の自分」になって、もう一度その時の体験をやり直すわけですね。


年齢は、18歳でも良いですし、5歳でも、10歳でも20歳でも構いませんが、そのタイミングの自分に退行するということです。


過去においてはショックが大きすぎて情報処理しきれず未完了になってしまったわけですが、それを安全で落ち着いた環境の中でもう一度体験しなおすことによって、ちゃんとした完了までもっていくわけです。


ちゃんと完了させることができれば、もう短期記憶として保持する必要性はなくなりますから、忘却されるか長期記憶へと移行されます。


そうなれば、時は再び動き出すわけですね。


まあ、トラウマケアと一言で言っても様々な方法があるのですが、今日は退行による再体験という方法を紹介してみました。








 
 
 

Comments

Rated 0 out of 5 stars.
No ratings yet

Add a rating
bottom of page