心理学は、与太話なのか?
- 北林陽児
- 3月28日
- 読了時間: 3分
今日は、「心理学の再現性の危機」について書いてみましょう。
再現性というのは、「科学的な結論は、同じ手順で同じ実験を行えば、同じ結果が得られる」という科学が備える要件の1つです。
つまり、これが満たされなければ、科学的に却下されるということです。
この重要な要件について、心理学の様々な論文が疑われていることが、「心理学の再現性の危機」と呼ばれています。
まあ、平たく言ってしまえば、「心理学て、本当に科学なわけ?」
もっと乱暴に言えば、「飲み屋の与太話なのか?」という話です。
さて、この問題は、2015年に、諸々の心理学論文の追試を行ったところ、再現できたのは35%だけだったという論文が発表されたことから始まりました。
一般人が思う「心理学」には、実験研究による学術的なものから、誰かがなんとなく言い出した通説や、宗教の教えから転じた思想まで、定義を広くとれば、全く科学性のない物もたくさん流布しています。
しかし、それらの中で最も科学性の高い実験ベースの学術的な心理学が疑われてしまったわけです。
しかも、35%しか再現できない。
つまり残りの65%の論文は、飲み屋の与太話だったてこと?という話なのです。
さらに、その65%の中には知名度がかなり高いものも含まれています。
・マシュマロテスト
与えられたマシュマロを一定時間を我慢できた子供は、人生において成功する。
・吊り橋効果
異性と一緒に吊り橋を渡ると恋に落ちる。
・表情フィードバック仮説
口にペンを横に咥えて笑顔の形を作ると楽しくなる。楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しい。
・1万時間の法則
何事でも1万時間訓練すれば一流になれる。
その他山のようにあります。
このようにかなり有名で、教科書にも載っているクラスの研究も沢山否定されているのです。
心理学の研究というものは、人々の日常の中での話題としても興味を引く内容なので、少なくとも一昔前には、ドヤ顔で披露していた人もいるでしょう。
というか、それは私自身のことです笑
ただ、最近あまり聞かない気がするのは、こんな裏事情があるわけですね。
心理学を基礎とする心理療法に取組む私が、心理学の危機を記事を書くのは、なかなか攻めていますね笑
これは単に心理学の危機ではなく、私自身の危機なのか、どうなのか?
スリリングで面白いトピックです。
ただ、これは長くなりそうなので、今日は、ここらでおしまいにして、詳しくは、次回以降に説明させてください。
次回は、再現性が認められなかった具体的な研究を取り上げて解説します。
久々に記事を読んでくださった皆様、ありがとうございます。
留言