前回記事の内容
前回の記事では、自己効力感とはバンデューラーという心理学者が提唱した概念で、単純に言えば「自信」と似たようなものと説明しました。
バンデューラーによると、それを高める方法としては、①成功体験をする ②他人の成功を見聞きする③他人から「成功できる」と諭される ④成功時の情動を味わう の4つがあります。
自己効力感を高める論文の例
4つがあると言っても、それだけではちょっとわかりにくいので、こんな研究論文を紹介します。
古賀初(2016)
『大学生の社会的スキルおよび自己効力感に対する 「富士登山キャンプ」の教育効果』
file:///C:/Users/user/Downloads/14-22.pdf
これは、富士登山キャンプに参加した学生の自己効力感が、どのように変化するかと言うことを研究している論文です。
これは、バンデューラーの4つの方法の中では、①成功体験を積むに該当している・・・と思ったのですが、この論文の中では4つ全てに該当していると述べています。
自分以外の友人たちが登頂する姿を見ることは②人の成功体験を見聞きするに該当し、誰かに励まされれば③誰かに「成功できると」諭されるに該当し、不安から解放されたり登頂時の達成感は④成功時の情動を味わうに該当するというわけです。
つまり、プログラム全体の中の様々な経験を通して自己効力感が上がるんだというのが、この論文の主張です。
私自身の富士山登頂体験
ちなみに、私自身も富士山に登ったことがあるのですが、初心者10人の大所帯でリーダーを務めていたので、山あり谷ありの苦労を重ねてどうにか登頂しました。
登山自体も記憶に残っていますが、それ以上に帰ってきてからの打ち上げの飲み会もすごく記憶に残っています。
全員、「やり遂げた」という気持ちがあるので、めちゃくちゃ盛り上がりました。
で、その時、なぜか私は飲み屋の店員さんをナンパして後日デートをしたという出来事がありました笑
普段そういうことをするわけではないのですが、その時の高揚感でなぜかそうなってしまったわけです。
この私の行動を学術的に説明するならば、成功体験の直後に自己効力感が高まり、通常はしない挑戦をして成功した。という感じでしょうかね笑
「④成功時の情動を味わう」と言う謎の方法
私のナンパの思い出はさておき、バンデューラーは4つの方法を挙げていて、富士登山の論文でもその4つが原因としています。
ところで、ここで①成功体験をする ②人の成功を見聞きする ③人から諭されるの前者3つは、まあ理解できるわけです。
理解できると同時に、「そりゃそうだろうね」という退屈な話でもあります。
しかし、「④成功時の情動を味わう」は良く分からないと思いませんか?
論文で「登頂時の達成感を味わうことによって自己効力感が高まった・・・」と言われても、それって①成功体験とどう違うんですか?
達成感を味わうって成功体験そのもののことではないでしょうか?と思ってしまうわけです。
実は、この「④成功時の情動を味わう」という方法が、心理療法というスキルが入り込む余地があるわけです。
つまり、一番面白いのが「④成功時の情動を味わう」なのです!
ということを述べて、今日のブログは終わりにしましょう。
拝読して、富士登山どころか、小さな成功体験も味わうことが少なかったこれまでの自分の人生を振り返っています。
表面はにこにこしていても、感情を抑え、人の顔色を気にしながら、ついたての奥に半分隠れるようにして過ごしてきた年月…。
読み物としてとても楽しかった北林先生のブログが、振り返りと深い意味を投げかけてくれるようになりつつあります。
次回も楽しみにしております。
byたびびと・ぶんぶん