避けられないテーマ
心の問題を語るときに、「親との関係」は避けては通れないテーマですね。
主たる悩みごとが親との関係である場合もあれば、現在の主たる悩みごとである別の問題を堀深めていくと親との関係に突き当たるということもあります。
悩みの深さに程度の差こそあれ、誰もが親からの影響を受けているので、その影響が現在の悩みごとの原因となっているということはよくあると思います。
私自身も親との関係にはかなり思い悩んでいました。と言うか今、この原稿を書いている段階でも、他のテーマでは感じることのな葛藤が感じられて、なかなか精神的負担の重いテーマだなと思っています。
「現実の親」と「心の中の親」
自分自身も親も、ある程度年を取ってくると、現実的な力関係は逆転してくるものです。
親は年をとると気力体力も落ちてきますし、だんだん角が取れて優しく丸い性格になっていくものです。
ですから、現実を客観的に見ると、そんなに悪い人物ではない。にもかかわらず主観的には依然厳しくて苦しみの源であるということが生じます。
これって、現実の親ではなくて、「心の中の親」が自分を苦しめてくるのですね。
もう何十年も前の若くて自分よりも強かった親が、自分の心の中でまだ生きていて、その親が今も自分のことを責めてくる・・・のですよね。
「心の中の親」との和解
この問題を解決するためには、親と和解するしかありません。
「親と和解する」と言っても、現実の親ではありません。
現実の親と話し合ったりしても、大きな意味はあまりなくて、むしろ混乱を大きくするだけかもしれません。
そうではなくて、「自分の心の中の親」と和解する必要があります。
「心の中の親」と向き合い和解することができれば、現実の問題も解決します。
私自身も長年の心理療法への取組の中では、「親との和解」も大きなテーマでした。
しかし、今でも覚えているのですが、自分の心と向き合って心の中で「親との和解」が成立すると、そのとたんに現実の親との関係が改善しました。
自分が変われば、人も変わる
これは驚くべきことで、「心の中での和解」が成立した途端に、あんなにいつも不機嫌で苦々しい顔ばかりしていた現実の父親が、ニコニコと笑顔で優しく私に接してくれるようになりました。
自分の心の中が変化すると、それに合わせて周囲の人々も変化するという現象を体験した最初の出来事でした。
不思議なことですが、人の心は繋がっているということですね。
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