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人を操作するための「道具的感情」

執筆者の写真: 北林陽児北林陽児

ぜひ知っておいて欲しい概念


あなたは、「道具的感情」という言葉を知っていますか?


感情を道具にしている・・・というのはどういう意味でしょうか。


これは、まじめな心理学の教科書にも載っている言葉です。


いつも私は、人の行動にはメリットや目的があるんだよと書いていますよね。


道具的感情を知っておくと、このメリットや目的があるということが理解しやすくなるので、重要な言葉だなと思っています。


おもちゃ屋の前で泣きわめく子供


道具的感情とは、文字通り、感情を道具のように使っていることを意味しています。


道具というものは、何らかの目的があってその目的を達成することを簡単にしてくれるもののことです。


例えば、おもちゃ屋の前で、子供が床に寝そべって泣きわめいているとしましょう。(近年はもう見られない光景ですが・・・)


あるいは、子供が大人の前でウソ泣きをしているとしましょう。


この泣きわめくというとかウソ泣きは、道具的感情と言えます。


つまり親などの大人との関係において、何かを買って欲しいとか、何かを食べたいとか、そういう自分の要求を通すための道具として感情を使っているわけです。


このように、誰かを自分の思い通りにコントロールして自分の思いどおりの行動をとらせることを目的として、つかわれている感情を、道具的感情と言います。


駆け引きの道具として感情を使っているといっても良いかもしれません。


大人の世界でも使われる道具的感情


さて、上では子供の例を用いて分かりやすく説明しましたが、これは大人の世界でも普通に使われているものです。


例えば、すぐ怒ってしまうような上司は、怒りと言う道具的感情を用いて、部下をコントロールしようとしているかもしれません。


あるいは逆に、冷たくじっとりと不機嫌になることによって、上司に静かなる反抗をすることによって上司をコントロールしようとする部下もいるかもしれません。


上司なのに、部下に気を使ってばかりの人っていると思うのですが、道具的感情によって支配されているのでしょう。


ことさらに悲しむとかグジュグジュすることで、誰かにかまってもらう、優しくしてもらうことを期待するというのもあるかもしれません。


感情と言うものは相手に対して影響を与えることが可能ですから、いわゆるアメとムチとして機能させることで、人をコントロールするために使っているわけです。


道具的感情は、麻薬的魅力


このように書くと、人をコントロールして思い通りにできるなんて、道具的感情って便利だね!って思う人もいるかもしれません。


しかし、一時的には良いかもしれませんが、長期的には良い結果にならないでしょう。


なぜならば、「人をコントロールする」、「人を操作する」という発想自体が、邪悪で、やがてその対象の人物に嫌われがちな考え方です。


それだけでなく、道具的感情を使うとわかりやすいメリットを得ることができますから、とても良い物であると心にインプットされて、その後、繰り返し繰り返し使ってしまうようになります。


やがて自分自身でも意図せずして勝手に発動してしまうようになると、今度は、自分自身がその感情に支配される番です。


怒りたくないのに怒ってしまう、不機嫌になりたくないのに不機嫌になってしまう。


そもそも何の目的をもって怒っているのかも分からなくなってくるでしょう。


結果的に、人間関係がうまくいかなくなるし、やがて自己肯定感も下がってくる原因となるでしょう。


怖いですね・・・。なんだか麻薬的・・・


まあ、そうは言っても、道具的感情が全くない人っていないと思うんですよね。


私もたまに、「こ、これは道具的感情だ・・・」と自分に気づくことがあります。


でも、もし、今、道具的感情を持っていたとしても、これから変われば良いだけのことです。


そのために、まず道具的感情という考え方を紹介したいと思いました。

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