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人の苦しみを「もらう」現象

執筆者の写真: 北林陽児北林陽児

昨日は、移植手術に伴う記憶転移の話から、「被り」の話へと展開しましたね。


その中で、記憶転移についてのリンクを貼り忘れていましたので、今日の記事の最後に貼っておきますね。


さて、今日は、「被り」もしくは「もらう」という現象について、もう少し詳しく書いてみましょう。


みなさんは、カウンセラーや治療家の職業病的な現象として、人のセラピーをしているうちに、自分自身のメンタルや体調が崩れるという話を聞いたことがないでしょうか?


このような現象は、クライエントに対して深く共感することによって、クライエントが持っている悪いものが感染するというか、同期するというか、移動するようなことで発生します。


この現象は何もセラピストのみに発生することではなく、共感性の強い人であれば日常生活での会話や相談をする中で、普通の人にも生じることです。


「あの人の相談を聞いていたら、気持ち悪くなって体調が崩れてしまった。」というような経験はないでしょうか?要するにそういうような現象に近いです。


従って、「被り」が生じるのは、その人物の共感能力が高さを証明しているわけで、セラピストとしての一種の資質を示すものでもあると言えます。


私も、経験が浅いころはしょっちゅうもらっていて、夜にセッションをやってから眠って、朝起きると、体中が痛いとか、自殺願望が生じているとか、そういうことが良くありました。


例えば、ある社会的地位の高い専門職のクライエントのセッションを行った際に発生したことがありました。


私も昔は、そういう専門職になりたいと思って、めちゃくちゃ勉強して厳しい競争をしていた時代があって、その人の苦しさや辛さや栄光が、身に染みるように共感できました。


すると、翌日、仕事の考え事が頭の中をグルグル回りだして止まらないのです。


現在の私はのんびり暮らしていて、仕事のこととかあまり考えないのですが、猛烈な勢いでグルグルと思考が回りだして、なんだこれは・・・という感じでした。


そういう自分の人格には本来ないはずの思考が突然起きるようなときは、「被り」が生じていると考えてよいでしょう。


このように意図せず望んでいない人格変化や、身体的不調が突然生じる場合があるので、本当に困った問題です。


まあ、しかし、そのような被りは処理して元に戻る方法がありますし、被らないように避ける方法もあるので、経験を積むに従って悩まされなくなります。


そんなこんなと言ったような「被り」という現象ですが、非常に興味深いものだと思いませんか?


この現象から言えることは、人の心と心は繋がっているということです。


例えるならば、2台のパソコンがあって、そのデータ内容を同期するようなことに似ていますよね。


それが同じ空間にいなくてもZoomで会うだけで生じてしまうわけです。


と、言うか、本当のことを言ってしまえば、Zoomで会うことすらなくても、電話で会話すらしなくても生じることがあって、そういう現象も私は何度も経験しています。


移植手術に伴う記憶転移と言う現象も、このような「被り」の現象の延長線上にあるわけで、そのように考えれば、特に不思議な現象ではないわけです。


と言っても、そこには論理の飛躍がまだ残されている感じがするので、次回もう少し書いてみようと思います。



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