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パブロフの犬と、サザエさん症候群

  • 執筆者の写真: 北林陽児
    北林陽児
  • 2024年3月11日
  • 読了時間: 3分

前回の記事では、サザエさん症候群も心理療法で解消できると書きました。


今日は、サザエさん症候群の原因について書いてみましょう。


結論的に言ってしまえば、これはパブロフの犬ですよね。


パブロフの犬は多くの人がご存じと思われる有名な実験のことですね。


犬に対して、①ベルを鳴らしてから、②エサを与えるという順番でエサやりを行うことを繰り返したところ、やがてエサ無しでも、ベルが鳴っただけで③ヨダレを流すようになるというものです。


エサを食べることがトリガーになって、ヨダレが出るという反射反応は自然なのですが、繰り返すことでベルの音をトリガーとして反射するようになるわけです。


このように、意志と関係なく自動的に動く仕組みが新しく作られること、つまり新しい反射の仕組みを作ることを、心理学用語で「学習」と言います。


心理学の人が「学習」という言葉を使う場合には、机に向かって教科書を読むようなこととは、だいぶ違うので注意が必要ですね。


サザエさん症候群の原因も、パブロフの犬(学習理論)で、説明することができます。


つまり、


⓵日曜の夕方になる ②出勤日が来る を繰り返すうちに、


日曜日の夕方になるだけで意志とは関係なく自動的に、


③憂鬱な気分になる。


この上記の一連の流れは、


①ベルが鳴る ②エサを食べる を繰り返すうちに、


ベルが鳴るだけで意志とは関係なく自動的に


③ヨダレを流す。というものと同じなのです。


本来的には、学習は、様々な行動を自動化することによって、日常生活を効率的に過ごすためのものなのですが、サザエさん症候群のように、苦しみの原因になってしまうことがあります。


そのような場合には、「誤学習」という言葉を使います。


ちなみに、現在の心理療法の主流派である認知行動療法においては、うつ病にしろ何にしろ、心理的な不調の原因は、誤学習であるとしています。


ちなみに私自身の場合には、平日全般に憂鬱と緊張が強く、休日だけリラックスという状況でしたが、無職で療養している時期でも、そのような状態が続きました。


たとえ、仕事がなくても(エサがなくても)、平日になれば(ベルが鳴れば)憂鬱になってしまう(ヨダレがでてしまう)という自動プログラムが続いていたわけですね。


このように一度学習してしまったものは、そう簡単には解除されないのですが、逆に「その誤学習を消去することができれば、様々な不調の問題は解決できる」ということになるわけで、これが認知行動療法の基本的な考え方です。


私も、療養中に、平日と休日では気分が全然違うことに気づいて、誤学習を消去してみたところ、何曜日であれ平静にリラックスした状態でいられるようになりました。

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