心の成長が止まる現象
- 北林陽児
- 1 日前
- 読了時間: 3分
前回は、トラウマを体験すると、時の流れが止まって、その過去の出来事に心を捉われるという話を書きました。
さらにそこから派生する話として、時の流れが止まると、心の成長も止まってしまうという話をしようと思います。
例えば、18歳の時に大きなトラウマ事象を経験した場合、30歳になっても40歳になっても50歳になっても、18歳の心の精神状態が続くという現象が起きてきます。
前回書いたように、トラウマを持っていると、その時の感情がずっと心の中に残り続けるわけですから、その部分の成長が止まることを意味しています。
子供時代に虐待などを受けて育った大人のことを「アダルトチルドレン」と言うのは、一般にも知られていると思います。
これは、虐待などによって、子供時代にトラウマを抱えて以来、心の成長が止まった状態を意味している言葉です。
心の成長が止まってしまった場合、現実の年齢と心の年齢とのギャップに苦しむこととなります。
周囲がどんどん大人になっていく中で、自分だけが幼いまま、取り残されていると感じることもあるでしょうし、自分だけは何故大人にならないのか不思議に思ったりします。
ちなみに、私自身は、テレビで同世代や年下のタレントなどを見ると、あまりの大人っぽい発言に驚くと同時に、ずいぶん苦しい思いをした記憶があります。
そう言えば、30代にもなって親や祖母から「もっと成長しろ」と冷たく言われたようなこともあって、頭が爆発しそうな悔しさを味わったことがありました。
ここで強く言いたいことは、心の成長などというものは本来的には、意識的な努力などせずとも勝手に起きるものです。
テレビの中のタレントや周囲の友人が、自分よりもはるかに大人だったとして、彼らが何か努力をしてそうなったわけではありません。
同時に、自分自身だけがその努力を怠ったわけでもありません。
心の成長などというものは本来、雑草が成長するのと同じように、放っておけば成長するもので、彼らが立派だとか偉いという話では全くありません。
時の流れが止まっているとか、過去に心を捉われているとか、心の成長が止まっているとか、そういう風に感じられる場合でも、自分自身を責める必要はありません。
それはただ単に不運にして、不運な自己に遭遇したり、悪い環境に放り込まれたことで、そういう風になってしまったということで、自分自身に責はないということでファイナルアンサーです。
また、幸いにして、その原因がトラウマである以上は、そのトラウマをケアすることによって、時の流れは再び動き出し、心の成長もあっという間に追いつくことができます。
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