時の流れが止まる現象
- 北林陽児
- 4 日前
- 読了時間: 3分
ちょっと記事の間隔が開いてしまいましたね。
久しぶりなので、新しい話題として、時の流れが止まる現象について書いてみましょう。
ニュースとか映画とかドラマなどで、事故とか事件とかで家族を失った人が「あの時から、時が止まってしまった」というようなことを言うのを見たことがないでしょうか?
もちろん、客観的な世界の時間は流れているわけですが、その人の心の中では、その時から時間が前に進まないように感じられるということです。
これは映画やドラマのような架空の話ではなくて、現実によく起きることです。
この現象の原因はもちろん、トラウマによるもので、トラウマ事象を体験すると、心がその体験にずっと捉われるようなことが起こります。
心が捉われるとはどういうことかというと、その出来事の時の感情や気持ちがずっと心の中に残り続けることによって、その感情に合わせて、その出来事に関する思考をひたすら継続することとなります。
通常、何か悲しい出来事が起きても一週間とか、1か月とかたてば、感情が徐々に薄れていって、それと同時にその出来事についても考えることはなくなってゆきます。
しかし、トラウマ体験をした場合には、「感情が徐々に薄れていく」ということがなくて、ず~~~っと感情が心の中に残って、思考もそれに関連したことばかりを考えてしまいます。
例えば、家族が自殺したことがトラウマになってしまっているような場合、その悲しみがずっと心の中に残り続けます。
そして、その悲しみを味わうだけでなく、その時の光景を思い出したり、その直前の出来事や、その人との関係などについて考え続けることとなります。
例えば、「あの時こう言ってしまったのが悪かった」とか「SOSを無視してしまっていた」とか「あの人が悪口を言ったせいだ」などと延々と考えるわけです。
このような思考はどんどん加速していって、時がたつほど雪だるま式に増えてゆき、心の奥まで侵食していくこととなります。
身体的には2025年の現在を生きているにも関わらず、10年前20年前の感情を味わい続け、そのことを考えるというようなことは、トラウマを持つ人には非常に良くあることです。
しかし、このような現象は周囲の人々にはなかなか理解されないという側面があって、「いつまでそんなことを言っているんだ」とか「そんな昔のことまだ考えてるの?」とか「もうその話は止めろ」などと心ない言葉を投げつけられることもしばしばあります。
しかしながら、このような心なき言葉は本当に有害です。
何故ならば、人にその話をして聞いてもらうという行動は、時の流れが止まる現象つまりトラウマを克服するために、重要だからです。
つまり、その話をすることを禁止されると、トラウマは癒されることなく苦しみ続けることとなります。
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